会社設立したからこそ活用したい研究開発税制


企業活動を行うにおいて、研究開発は重要な経営戦略の1つです。
研究開発を通して、自社のブランドを差別化させたり、高い付加価値を生み出す源泉となります。
国は研究開発を奨励しており、税制においては、税額控除を設けています。
今回は、経済産業省が公表している資料を基に研究開発費税制について説明します。


制度について

所得の計算上損金の額に算入される試験研究費の額がある場合、その事業年度の法人税額(国税)から、試験研究費の額に税額控除割合を乗じて計算した金額を控除できる制度です。

つまり、試験研究費の額の割合に応じて、法人税を控除できるということです。


控除の種類は4パターンあり、それぞれを加算して控除できる額を決めます。

A.総額型(控除の上限は法人税額の25%)

控除額=試験研究費の総額×8~10%
(中小企業者等の場合は一律12%)


B.オープンイノベーション型(控除の上限は法人税額の5%)

控除額=特別試験研究費の総額※×20又は30%

※特別試験研究費とは大学・特別研究機関等と共同・委託研究、企業間での共同・委託研究等、中小企業からの知財権使用をさします。


C.増加型(控除の上限はC、D選択した上で法人税額の10%)

試験研究費が過去3年で計算した平均より増加している場合については、増加した額の5%~30%を控除できます。


D.高水準型(控除の上限はC、D選択した上で法人税額の10%)

試験研究費の対売上比率が10%を超えた場合の控除制度


試験研究費の範囲

「製品の製造」又は「技術の改良、考案若しくは発明」にかかる試験研究のために要する費用で次に掲げるもの。

  1.  試験研究を行うために要する原材料費、人件費(専門的知識をもってその試験研究の業務に 専ら従事する者に係るものに限る)及び経費
  2.  他の者に試験研究を委託する場合、委託研究費
  3.  技術研究組合等に支払う費用


試験研究費に充てるために他の者から支払を受けた金額(受託研究の対価・補助金等)がある場合には、その金額は試験研究費の額から除外されます。


この試験研究は、工学的・自然科学的な基礎研究、応用研究及び開発・工業化等を意味します。新製品や新技術だけでなくても、現に生産中の製品の製造や既存の技術の改良等のための試験研究であっても対象となる。


逆に、「製品の製造」又は「技術の改良、考案若しくは発明」に当たらない人文・社会科学関係の研究は対象とはなりません。

したがって、例えば、次のような費用は含まれません。

  •  事務能率・経営組織の改善に係る費用
  •  販売技術・方法の改良や販路の開拓に係る費用
  •  単なる製品のデザイン考案に係る費用
  •  既存製品に対する特定の表示の許可申請のために行うデータ集積等の臨床実験費用

人件費のうち専らの範囲

人件費については、「専門的知識をもってその試験研究の業務に専ら従事する者に係るものに限る」と定められており、その専らについても要件があります。

1)研究開発担当等、肩書きがついていることにより専属していることが明らかであること
2)全期間において研究プロジェクトに従事していること
3)以下の要件をすべてみたすこと


  1. 研究プロジェクト計画における設計、試作、開発、評価、分析、データ収集等のいずれかの業務に専属していること
  2. 担当業務が試験研究のプロセスの中で欠かせないものであり、かつ、当該者の専門的知識が当該担当業務に不可欠であること。
  3. 勤務の実態が1ヶ月以上(実働20日程度)あること
  4. 人件費が区分され、研究開発にかかるものとして明確になっていること

まとめ

実際の税金の計算では、時限措置や計算方法が増え、複雑になります。
とはいってもこの税制を正しく理解して、使うことにより、税金を抑えながら成長する投資に回すことができます。
中小企業、特に製造業には多くのメリットがある税制ですので、一度検討してみてはいかがでしょうか?


コンサルティング事業部第1課
掛上健司