決算期末の棚卸・仕掛品計上漏れには注意を

決算期末の棚卸・仕掛品計上漏れには注意を

【確認ポイント】

① 税務調査で指摘が多いのは、売上の繰り延べに続いて決算期末の棚卸・仕掛品計上漏れです。

<棚卸資産とは?>

販売する目的で会社が保有している在庫の総称のことで、具体的には下記を指します。

  • 商品や製品そのもの
  • 半製品・・・完成はしていないが、販売可能な状態にまで製造されている製品
  • 仕掛品・・・製造途中で、まだ販売はできない状態の製品
  • 原材料、材料
  • 貯蔵品・・・未使用の消耗品

<仕掛品とは?>

上記のとおり棚卸資産の区分の1つで、製造途中の製品を指します。
半製品と混同してしまったり、仕掛品との認識がなかったりと、計上漏れしやすい勘定科目なので、改めて確認しておきましょう。
半製品との違いは、半製品が販売可能な状態であることに対して、仕掛品は販売できない状態です。

<仕掛品の一例>

  • 制作途中のWebサイト
  • 断裁をしただけで縫製をしていない生地
  • 練っただけで型に流し込んでいないチョコレート

製造業だけでなく、IT開発業やデザイン業も対象になりますので、ご注意ください。

また建設業では、仕掛品に該当する独自の勘定として、未成工事支出金があります。


② 税務調査で棚卸が問題となるのは、期末棚卸により当期の所得金額が確定する重要な手続きだからです。

<期末棚卸が重要視される理由>

ところで在庫には、期首棚卸高と期末棚卸高の2種類あります。

  • 期首棚卸高 : 期首(会計年度の開始日)時点の在庫の総額を指します。
  • 期末棚卸高 : 期末(会計年度末)時点の在庫の総額を指します

つまり、 期首棚卸高 = 前期の期末棚卸高  となります。

会社の利益は、「売上 - 売上原価」 で算出しますが、「売上原価」を算出するために必要になるのが、期末棚卸高です。

  • 売上原価 = 前期の期末棚卸高(当期の期首棚卸高) + 当期の商品仕入れ高 – 当期の期末棚卸高

このようにして、会社の利益は前期と当期の期末棚卸高から算出されます。
さらに、利益をもとに算出された所得金額に対して法人税が課せられることからも、期末棚卸がとても重要な手続きであることが分かります。



【調査官から指摘を受けた事例】

X社では決算に際し、自社の工場、倉庫内にある製品、原材料について実地に棚卸を行い、外注先に支給している材料などについては、そこからの報告に基づいて期末棚卸を計上していた。


しかし、外注先P社に支給している材料の期末残500万円については、その報告がなかったため、税務調査において棚卸計上漏れを指摘された。

このような指摘を受けないためにも今一度、計上漏れが発生していないかチェックをしてみましょう。

【チェックポイント】

① 外注先、仕入先などへの預け品が棚卸に計上されているか。

仕入れをしたものの、外注先や仕入れ先に商品がまだあるケースがあります。
また、仕入れ先になく自社にもない未着品で、トラックで運送中の商品があるケースもあります。
それらの商品は、自社で保有している在庫と同様に棚卸に計上する必要があります。

② 決算期末近くの仕入れ及び売上返品は棚卸に計上されているか。

決算期末直前に仕入れた商品は自社に搬入されていない事が多く、在庫として計上漏れが起きやすいので気を付けましょう。
また、返品された商品を別管理している場合は特に、在庫として計上漏れしやすいので注意が必要です。

決算期末の棚卸が不安な方は、ぜひ一度私達にご相談ください。

コンサルティング事業部 第1課 覚野 奈緒美